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多摩武蔵野ウォーキング
 
青梅市  OME  
  塩船観音寺
しおふねかんのんじしゅうへん 
寺社巡りからつつじ祭りへ-歴史を偲び、季節の花を楽しむウォーキング

塩船観音寺のつつじ祭りは、毎年たくさんの参拝客が訪れる有名な行事。なかでも毎年ゴールデンウィーク中に「火渡り」が行われ、参拝者数がピークとなる。今回のウォーキングでは、JR青梅線の東青梅駅を下車して、青梅市内に点在する寺社仏閣をはじめとする名所に立ち寄りながら、この塩船観音寺を最終目的地とするコースをご紹介。取材日は「火渡り」行事の日だったが、季節ごとに楽しめる人気のコース。歴史を偲びながら、季節の花めぐりを楽しんでみてはいかがだろうか。

 
 
全長
約2.5キロ
所要時間
約1.5時間
Access :電車
JR青梅線「東青梅駅」下車
Access : 車
【立川方面から】
奥多摩街道を青梅・奥多摩方面へ約40分
おすすめ
シーズン
つつじの見ごろは4月中旬から5月下旬あたりです。
 
 
 
1 JR東青梅駅
 ↓
徒歩12分
2 大塚山公園
 ↓
徒歩8分
3 光明寺・師岡神社・
  勝沼城跡
 ↓
徒歩5分
4 妙光院
 ↓
徒歩5分
5 吹上しょうぶ公園
 ↓
徒歩3分
6 宗泉寺
 ↓
徒歩20分
7 塩船観音寺
 ↓
徒歩10分
8 塩船観音寺バス停
 
 
 

 大塚山公園    川と緑に囲まれた地元の人たちの憩いの場

 

東青梅駅を出て青梅街道を青梅方面に進み、その先の成木街道を折れて北上すると、ほどなく「鉄道公園入り口」の信号。そこを右折し、小学校前の道を川に沿って歩いたところが「大塚山公園」の入り口。公園にはもう一箇所入り口があるのだが、どちらから入った場合でも傾斜を上っていく作りになっており、緑に覆われたこの公園の名が「山」というのも頷ける。とはいえ、公園自体はさほど広くはなく、道も歩きやすい。川沿いに位置するこの公園は、朝の散歩にはもってこいの場所。この日は天気も良く、新緑の木漏れ日と、時折吹き抜ける川を渡る風が心地よく感じられた。ボールで遊んでいる子供たちや犬と散歩をする人など、地元の人達の憩いの場となっている。

見晴らしの良い公園
 
 光明寺から師岡神社、勝沼城跡へ    勢力争いの歴史と消え行く城跡
再び成木街道に戻りさらに北へ。「青梅4小前」の信号を右折し「城山通り」に沿って進んでいく。最初のスポット「光明寺」は、「光明寺前」の信号からすぐ。入口に近づくにつれ、どこかの鐘の音に混じって寺の方からお経の声が耳に入ってきた。

寺の脇にある石段を登り、鳥居をくぐり抜けると、見えてくるのが師岡神社。室町時代にこの辺り一体を支配していた三田氏に代り、勝沼城の城主となった師岡氏を奉っている神社だ。ともすれば見過ごされてしまいそうな、小さな神社だが、右脇にそびえ立つ立派な二本のシイの木が歴史を伝える。案内版に「師岡神社のシイ」と記されたこの木々は、市の天然記念物指定。詳細は不明だが、その幹の太さや根の張り具合から、相当な年月を経た銘木のようだ。
光明寺 師岡神社 師岡神社のシイの木
 
石段を降り、光明寺の裏手の墓地を通りすぎると、左手脇に林道への入口がある。この林道の右手に広がる林が勝沼城跡だ。林道を進んでいくと、左手に配水所、右手に城跡への入口らしき場所が見えてくる。おそらく、ここを訪れる人の多くがこの入口を利用していると思われるが、実はもっと手前の、林道の入口(墓地と林の境目)の右手にも、林に入る道があることに触れておきたい。この日は天気も良く、つつじ祭りのため人通りも多かったが、そうでなければ余り一人歩きに向いている場所とは言い難い。城跡の雰囲気を体験するだけなら、この右脇の道を上がったところから外堀の跡を確認するだけでも良いだろう。

勝沼城は、室町時代に青梅・奥多摩・秩父方面に勢力を持っていた三田氏の居城として知られている。室町時代末期、北条氏の勢力に攻め滅ぼされた三田氏が城を放棄した後は、北条氏の家臣・師岡将景がこの城を治めていた。その師岡氏も1590年の小田原の役で落城し、それ以来この城は廃墟となる。

城跡の敷地内は、いたって普通の林という印象である。案内板があるという話も耳にしたが見当たらなかった。ここが城跡だったと聞いてピンとくる人は少ないかも知れない。しかし、数百年前確かにここに城は存在し、勢力争いの歴史と共に風化していったことは事実である。当時の武将たちが、さまざまな想いを巡らせてここから城下の街を眺めていたことを想像しながら歩いてみると、また違った印象を抱くのではないだろうか

勝沼城跡地
中央のくぼみが外堀の跡
 
 妙光院-吹上しょうぶ公園-宗泉寺   人の想いが遺産を守る
妙光院
「城山通り」に戻り、天正10年(1582年)と銘された千手観音を本尊とする妙光院へ向かう。門の左手にまだ青々とした楓の葉が風になびく様子が目に入ってきた。秋の紅葉の季節もよさそうだ。敷地内には、丸彫り地蔵や六地蔵の他、奥の方には子育て地蔵もあり、供えられた風車がくるくると回る様子がなんとも情緒的。
六地蔵 妙光院
子育て地蔵
 
吹上しょうぶ公園
住所 東京都青梅市吹上425
電話

青梅市 都市開発部公園緑地課
0428-22-1111 内線288・290

開園時間 9:00〜17:00(入場は16:45まで)
HP 市の紹介ホームページ

吹上しょうぶ公園
「城山通り」の二股をそのまま道なりに左方向に進んでいくと看板が見えてくる。名前のとおり「しょうぶ」が美しいことで知られる公園で毎年6月ごろのハナショウブの季節には青梅市「吹上花しょうぶまつり」が開かれる。(期間中のみ入園料200円。期間外は無料開放。) 216品種約10万本が花開き、多くの人でにぎわう。 そのほか、秋(9〜10月頃)が見ごろのフジバカマも1000株植栽されており、ファンが訪れている。

もともと、この公園は多摩丘陵一つ「霞丘陵」にある「勝沼城跡歴史環境保全地域」であり、貴重な谷戸地(周りを小高い山や丘陵に囲まれ、谷が細長く続く ような地形のこと。多摩に多く見られる。)を保全する目的で市により作られたもの。多摩の里山らしい、この環境と自然にふれながら散策を楽しむ人が多い。
なお冬期、12月〜2月は休園期間となっているので、注意。


[ガイド]
■6月 (まつり期間)  休園日なし/入園料 200円(小学生以下無料)
■7月〜11月・3月〜5月 休園日水曜日(祝日の場合は最初の平日)/入園料 なし
■12月〜2月  休園期間

 

宗泉寺
「吹上しょうぶ公園」を後にして「城山通り」に戻り少し歩くと、すぐに「宗泉寺」の入り口。宗泉寺は曹洞宗で本尊は地蔵である。門脇の丁寧に手入れされた真っ赤なつつじが美しかった。階段を登ると、左手には鐘楼堂、右手には小さな稲荷神社と、それを見守るかのように大きなカヤの木がそびえ立っている。鐘楼は、徳川綱吉の時代に作られたもので、一度は第二次世界大戦末期に政府に没収されたものの、信徒の願いにより再びこの地に戻されたという歴史を持つ。大きなカヤは都指定天然記念物の「宗泉寺カヤ」として名高いもの。正確な樹齢は明記されていないが、「昭和30年代に折れた枝が樹齢130年だった」というからかなりのものである。こちらも都の天然記念物に指定されており、「宗泉寺カヤ」として広く知られている。

宗泉寺
宗泉寺入口 鐘楼 都指定天然記念物「宗泉寺カヤ」
 
 塩船観音寺   年に一度の二大行事−つつじ祭りと火渡り
宗泉寺から再び元の通りに戻り、さらに進んでいくと、次はいよいよ今回のメインスポットである「塩船観音寺」である。「吹上中入り口」の信号を越えると、「塩船観音」の看板が見えてくるので、その看板の示す方に進んでいく。道は徐々に登り坂になるが、途中で鐘の音が聞こえてきたら塩船まではもう少しである。坂を上りきると下り坂が右方向に延びているので、そのまま道なりに進んでいくと塩船の入口に到着する。今回はつつじ祭り期間中のため、すでにたくさんの人で賑わっていた。

塩船観音の歴史は古く、大化年間(645〜50)にまで遡る。「若狭国(現在の富山県)出身の八百比丘尼(人魚伝説の主人公。17歳の時、人魚の肉を食べ不老長寿の身となり、後に尼僧となる)が、この地に立ち寄った際に千手観音を安置したのが始まり」と言われている。そんな興味深い伝説の残る寺の敷地内には、観音堂(本堂)を始めとして、仁王門、阿弥陀堂、銅鐘、薬師堂、板碑堂などがあり、そのほとんどが都や市の文化財に指定されている。指定文化財の宝庫である。そんな歴史的建造物のみならず、この時期には園内一面に咲き誇るつつじが鑑賞できるというのだから、毎年たくさんの人が訪れるのも頷ける。

阿吽の金剛力士立像が左右に構える仁王門をくぐり、入場券(300円)を購入して中に入る。都の天然記念物に指定されている大スギが左右にそびえ立つ石段を上がっていくと、水屋と薬師堂が見えてくる。さらに階段を上がると正面に本堂があり、その右手にひっそりと建っているのが板碑堂である。板碑とは、いわゆる供養塔で、死者の追善や後世の安楽を願って作られたものだが、ここの堂内に納められている板碑は、「大板碑」といわれ都下で最大級の板碑である。

仁王門
本堂
 
塩船観音寺
住所 東京都青梅市塩船194
電話 0428-22-6677
開園時間 8:00〜17:00
入山料 つつじ祭り期間中のみ
大人 300円(中学生以上)、子供 100円(小学生)、団体 240円(20名以上)
本堂を通り過ぎ左手に進んでいくと、途中で一気に視界が開け、丘の斜面一体に咲く色とりどりのつつじが目に飛び込んでくる。つつじはそれぞれ、早咲き・中咲き・遅咲きと順に咲くように植えられ、その数約15種類1万7本だという。中央に見えるのは「護摩堂引誓閣」といい、ここは「関東八十八ヵ所霊場」(「四国八十八ヵ所」の関東版)の72番目になっている。そもそも塩船の地名の由来は、周囲が小高い丘に囲まれ船の形に似ていることから、仏が万物を救おうとする大きな願いの船である「引誓の船」になぞらえて、ある高僧によりつけられたとされているが、「護摩堂引誓閣」もこの船からとった名前である。なるほど、確かに引誓閣を取り囲むように周囲は小高い丘になっており、それがつつじをよりよく見せているのがわかる。
米軍横田基地 米軍横田基地

 

本堂を通り過ぎ左手に進んでいくと、途中で一気に視界が開け、丘の斜面一体に咲く色とりどりのつつじが目に飛び込んでくる。つつじはそれぞれ、早咲き・中咲き・遅咲きと順に咲くように植えられ、その数約15種類1万7000本だという。中央に見えるのは「護摩堂引誓閣」といい、ここは「関東八十八ヵ所霊場」(「四国八十八ヵ所」の関東版)の72番目になっている。そもそも塩船の地名の由来は、周囲が小高い丘に囲まれ船の形に似ていることから、仏が万物を救おうとする大きな願いの船である「引誓の船」になぞらえて、ある高僧によりつけられたとされているが、「護摩堂引誓閣」もこの船からとった名前である。なるほど、確かに引誓閣を取り囲むように周囲は小高い丘になっており、それがつつじをよりよく見せているのがわかる。

丘に登る階段が両脇にあるので、右の方から上がってみる。途中、鐘楼堂で「招福の鐘」を撞く人の列が目に入った。寺に近づくにつれて耳に入ってきた鐘の音の正体が判明したわけであるが、しみじみと心に感じられたのは、一人一人の幸福への願いがこもっているからかも知れない。さらに歩くと、左手の眼下に先ほどの引誓閣が見えてくる。ここからの風景はなかなかの撮影スポットといえるが、体力に余裕があるなら上まで登って一周してみることをお勧めする。高台から見下ろすつつじの群れは、どのアングルから見ても素晴らしい。
 
つつじ祭り期間中の有名な行事に「火渡り」がある。この日はちょうど「火渡り」の日であったのだが、開始予定時刻の1時には、中央の広場の周りにはすでにたくさんの人が集まっていた。テレビ局の取材からアマチュアカメラマン、見物客であふれかえり、両脇の丘まで人がびっしりである。写真を撮りたい方は早めに来ることをお勧めする。

この一連の儀式は、ほら貝を吹きながら山伏たちの一行が入場するところから始まる。薪や柴で高く積み上げられた「護摩壇」の前に山伏が代わる代わる登場し、ほら貝や斧や太刀や弓などを用いてさまざまな儀式が行われる。中でも、園内に高々と放たれた弓は、それを取りに行こうとして滑ってしまった見物客がいたりと、会場を大いにわかせた。これらの所作は、どれも魔よけや護身の意味があるという。一通りの儀式が終わり、いよいよ護摩壇に火が灯される時がきた。二人の山伏が同時に手にもった松明から火を点けると、煙があっという間に立ち込め園内を高々と昇っていった。その後も諸々の儀式が行われ、合間合間にほら貝や錫杖の音が鳴り響いていた。ここまでは「柴灯大護摩供(さいとうだいごまく)」という儀式で、「火渡り」は実際にはこの後に行われる。刀を持った山伏たちが次々と焼け焦げた柴の上を歩いて行くのだが、その歩みの速さから察するにやはり熱そうである。なかには余裕顔で通っていく者もおり、「心頭滅却すれば・・」ということなのだろうか。最後は、一般の火渡り希望者がぞろぞろと歩いていくのだが、その頃には大分熱さは収まっていたようだ。

 

入場
護摩壇の前で待機する山伏
 
点火後みるみる煙が立ち込める。
 
気合を入れて渡ります(裸足)。 神輿も渡ります。 結構余裕?
 
今回のウォーキングはこれで終了。ここから近くのバス亭まで歩き、そこからバスに乗って河辺駅に戻ることができる。つつじ祭りの時期は、臨時増設バスも出ているので利用しやすいだろう。
 
【取材後記】   

今回のメインスポットである「つつじ祭り」と「火渡り」は、この取材で初めて観たのですが、どちらも見応え十分でした。(「火渡り」の見物客の多さにはビックリしましたが)。来年は友人と一緒に行って、早咲きのツツジを見ながら園内のベンチでぼーっとお団子でも食べたいなぁ・・と。

「火渡り」で煙が立ち込める園内を丘の上から見ると、また違った表情が楽しめますが、なかなか煙が晴れないので、ツツジの全景を撮りたい方は「火渡り」前に撮るのがお勧めです。

取材担当:Matsuda
 
 
 

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