東京の奥座敷。日帰りのハイキングコースとして人気の奥多摩に出掛けてみました。 現在は国道の青梅街道が整備され、山梨方面へ向かう車の通り道でもあるこの地域ですが、かつては馬や徒歩で塩山方面の人々との交易を行なう人々が通過する宿場町でした。 今回は、甲州方面へ向かう人たちが歩んだ旧青梅街道、むかしみちを行くウォーキングです。
奥氷川神社 交易の拠点として栄えた宿場町の中心地
むかし道入口 -- 羽黒三田神社 -- 槐休憩所 むかしみち最大の難所、羽黒坂
羽黒坂を登りきると、槐(さいかち)の休憩所があります。かつて、交易のための荷物を背負ったり、大八車を引いたりする人たちの憩いの場として親しまれていたこの地には、「槐木」と呼ばれる大木があり、それがこの辺りの地名になりました。むかしみちは長い道のりですので、こちらで充分に休憩を取っておきましょう。
白髭神社--惣岳渓谷 むかしみち最大の難所、羽黒坂
水根--奥多摩湖 東京の水がめ「小河内ダム」
トンネルを抜け、水根の林道を下ると、眼下には東京の貴重な水源、奥多摩湖(小河内ダム)が出現。山々に囲まれた巨大な水がめは総貯水量1億8000万トン。都民が利用する水の約2割が、多摩川や玉川上水を経由して、こちらから供給されています。ダムの建設にあたっては、14の集落から成る小河内村や、山梨県の丹波山村、小菅村の一部が水没、945戸が移転しました。これらのエリアを走っていた旧青梅街道、つまり「奥多摩むかしみち」も、奥多摩湖の建設工事で10km以上の範囲で姿を消しています。
ダムサイドには、東京都水道局が運営する「奥多摩水と緑のふれあい館」が。奥多摩の郷土史、文化、自然、ダムの仕組み、水の大切さなどを紹介している他、奥多摩土産なども販売されています。施設の目の前に奥多摩駅行きのバスが発着する「奥多摩湖」バス停があるので、こちらをウォーキングコースのゴール地点とするのが良いでしょう。
「むかしみち」という言葉の魅力に釣られて、奥多摩まで足を伸ばしてみました。かつては甲州裏街道、つまり旧青梅街道として往来する人々に使われていた道だというから、それなりに歩きやすいコースだろうと思っていましたが、これがなかなかハード。アップダウンが多いのもそうですが、吊り橋があったり、廃線トンネルを通ったりと、冒険気分を味わえるコースです。歩きやすい格好に、充分な水分、それから念のため雨具も用意してお出掛け下さい!