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やぼてんまんぐう・じょうやま・まましたゆうすいこうえん |
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多摩の文教都市として有名な国立市は、駅前の大学通りを中心にモダンな店や住宅が建ち並ぶお洒落な街。そんな洗練された街並みが市北部に展開する一方で、市南部の谷保地域には、まるで東京とは思えないような昔ながらの田園風景が広がっている。河岸段丘から湧き出した清水の水路が市内を縦横に流れ、その水路を利用して育まれた水田や田畑が所々に広がり、古き農村風景の面影を今に残している。この穏やかな田園地帯を流れる水路を辿りながら、歴史ある社寺や自然スポットを訪ねる郷土散策ウォーキング。今回は、始発点の谷保天満宮をはじめとして、稲刈りシーズンを迎えた実りの秋の風景をご紹介しよう。
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全長 |
約3.7キロ |
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所要時間 |
約2時間30分 |
Access :電車 |
JR南武線で谷保駅下車 |
Access : 車 |
国立府中ICより国道20号で立川方面へ約3分 |
おすすめ
シーズン |
4〜9月の春夏と10月の稲刈りシーズンがおすすめ |
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→この地図を拡大する |
1 谷保駅南口 |
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徒歩2分 |
2 谷保天満宮 |
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徒歩20分 |
3 城山(城跡) |
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徒歩1分 |
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徒歩0分 |
5 ハケ下散策路 |
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徒歩10分 |
6 くにたち郷土文化館 |
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徒歩1分 |
7 南養寺 |
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徒歩12分 |
8 ママ下湧水公園 |
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徒歩10分 |
9 矢川いこいの広場 |
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徒歩7分 |
10 矢川駅 |
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谷保天満宮 菅原道真公を祀る、関東三天神の一社 |
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JR谷保駅の南口から閑静な住宅街の細道を南へ辿ると、間もなくして東西に延びる甲州街道に当たる。その街道を渡る横断歩道の向こう側に、鬱蒼とした木々の茂みと鳥居が見える。この武蔵野の面影を残す雑木林に囲まれた一帯が、谷保天満宮の境内。JRの駅名は「やほ」だが、こちらは昔の地名と同じく「やぼ」と読む。なんと1000余年の社歴を持つ、関東最古の天満宮である。
信号を渡って表参道を入ると、急にひんやりとした外気に包まれ、車道を走る車の騒音がにわかに遠のいていく。木漏れ日がぼんやり差し込むほの暗い参道の奥には、また一つ鳥居が見える。珍しいことに、参道はその鳥居に向かって緩やかに傾斜していた。手水舎に立ち寄り、さらに石段を下りると、広場の右手に天満宮の社殿が現れた。 >> 国立市のエリアガイド-谷保天満宮
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下り坂の表参道 |
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社殿へと下りる石段 |
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谷保天満宮社殿 |
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坂となっている参道を下って社殿に辿り着くという奇妙な設計は、昔、甲州街道が天満宮の南側を通っていたためだという。つまり、この社殿は旧甲州街道が通る南側に面して建立されていたのだ。 |
社殿は小ぢんまりしているが、あちこちに生える高木の木々が、古くから地元の人々に大事に祀られてきた社であることを物語っている。小さな滝の音が聞こえるだけの静かな境内。向拝に近づくと、奥行きのある拝殿の向こうにきれいに祀られた祭壇が見えた。 |
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谷保天満宮は、延喜3年(903年)の創始で祭神は菅原道真公、湯島・亀戸と並ぶ関東三大天神のひとつである。彩色調査の結果、本殿の外観には東照宮のようなきらびやかな極彩色が施されていたことが分かったという。
さて通称「やぼてん」といわれる谷保天満宮だが、江戸言葉の「野暮天」の語源となったといわれている。その由来がまた興味深い。 菅原道真公が醍醐天皇時代に筑紫へと配流になった時、同時にその子三男道武は多摩郡分倍庄栗原郷(現在の谷保)に流されていた。その後、延喜3年に父道真公の訃報を聞いた道武は、悲しみに打ちひしがれながら父の坐像を彫り、これをご神体として祀ったのが天満宮の起こりである。ところが、このご神体の彫刻があまりにも素人っぽい造りで、できが良くなかったため、それを見た人々が「やぼてん」の名をあか抜けしない極めて野暮なことを意味する言葉として使い、江戸の流行語になったという。 ほかにも、こんな一説がある。安永元年(1772年)、江戸の目白不動尊へ出開帳した時、それがたまたま10月で、日本中の神様が出雲に集う神無月であったため、出雲に行かずに江戸の町に出向いていた谷保天神を皮肉って詠んだ歌
「神ならば出雲の国へ行くべきに 目白で開帳谷保の天神」
が語源になったともいわれている。いずれにしても、当時10歳だったという道武が彫ったご神体は、秘宝のため非公開となっており、その語源の由来の真偽は分からないところだ。 |
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合格祈願の絵馬。菅原道真公を祀る谷保天満宮は、学問の神様としても有名 |
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筆塚。江戸時代の寺子屋の子供たちが、文字の上達を願って使い古しの筆を埋めたという |
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■天満宮の座牛
菅原道真公が没した後、遺体を牛車に乗せて運んだところ、途中牛までが嘆き悲しんで座り込んでしまったという故事から造られたもの。この牛を撫でると願い事が叶うといわれている。
人々に撫でられて 表面がテカテカに光っている拝殿前の座牛、愛嬌のある風体で日向ぼっこしている石段前にある座牛の2体が鎮座しているので忘れずに撫でよう。 |
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拝殿前の座牛 |
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石段前にある座牛 |
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■境内のチャボ
天満宮の境内を歩いていると、なぜかチャボの姿を沢山見かける。これは、谷保天満宮の秋の例大祭で奉納される古式獅子舞の装束用の羽を調達するため、数十年前に様々な鳥を境内で飼い始めたのが始まり。結局どの鳥の羽も形が合わず、外国から羽を調達することにして全ての鳥を放したそうだが、なぜかチャボだけが境内に残り、今もなお棲息し続けているのだという。天満宮の雑木林は「武蔵野の原形を留める叢林」として都指定天然記念物となっているが、チャボの存在はそれだけ鳥にとっても棲みよい自然が境内に残っているという証なのだろう。 |
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境内に棲息するチャボ |
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天満宮本殿の裏手に回ると、弁財天を祀った厳島神社とその周りを囲むように小さな弁天池がある。この池の水は西側の「常盤の清水」から湧き出した水で、池の底がはっきり見えるほど透明度が高い。常盤の清水は常に豊かな水量で枯れたことがなく、昔は付近の人々の井戸として利用されていた。
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厳島神社 |
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厳島神社裏の弁天池 |
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池の水はよく澄んでいる |
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常盤の清水 |
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水田と水路のある道 清水が育む昔ながらの田園風景 |
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常盤の清水から流れ出す湧き水は、天満宮の境内を流れ、また一方では厳島神社の辺りから天満宮の外へと流れ出ている。裏参道の鳥居から天満宮を出ると、湧水の水がキラキラと水面を輝かせながらアスファルトの道路脇に小川を作っていた。地中から湧き出したばかりの新鮮な清水は、冷たく澄んでおり、コロコロと甲高い音を立てながら、5cmほどの浅い川底をサッと撫でるように流れていく。
天満宮の裏手の道を南に向かい、赤い天神橋を渡ると、道は稲穂が揺れる広い水田につき当たった。道を右に曲がればさらに水田が広がっており、静かな道路の脇には清水の流れる水路がどこまでも続いている。
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境内の外へと流れ出る清水 |
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赤い天神橋 |
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天神橋近くの水田 |
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畑の脇を通る水路の道 |
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小さな十字路を越えると、右手に畑が広がり、水路の幅も一段と広くなる。この辺りには梨園もあり、畑の奥には乗馬クラブもある。ここが東京の一角とは思えないほど、のどかで田舎びた風景が広がっている。安全できれいな水辺がすぐそばにあると、心が潤い、水に対する親近感も湧いてくる。
水路が張り巡らされているおかげで、この辺りは水田地帯となっていた。ちょうど10月の上旬で、黄金色に色づいた稲穂が重そうに頭を垂れており、この日はあちこちの水田で農家の人々が一斉に稲刈り作業を行なっていた。
都内で見られる珍しい稲刈り風景にしばし見入っていると、突然、農家のおじさんに声をかけられた。 「よかったら、そこから写真を撮ってくれないかねえ。」 たまたまカメラを持っていた人間を見つけたので、記念に1枚、ということらしい。おじさんは、毎年行う稲刈り作業の写真など撮ったこともないというので、こちらも見学がてら稲刈り風景を数枚撮影させてもらった。郷土らしいのはこの土地の風景だけでなく、農家の人々の気質も気さくで温かい。 |
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城山・城山公園 中世の城跡と樹林が繁る憩いの公園 |
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畑の脇の小道を通って車道を渡り、「城山公園入口」の立て札のある入口を入っていく。すると小さな水路をはさんで、広大な畑と鬱蒼と木々の繁る雑木林が現れた。この右手に出てくる雑木林の小道を入り、林を抜けたところで舗道を左に曲がると、「城山」と書かれた石の門が出てくる。門の奥へと入ってみると、ケヤキやコナラ、竹、ヤツデなど様々な樹木が繁る林の中に、稲荷社や古井戸の跡が残っていた。 |
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城山公園に通じる道 |
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水路をはさんで左が畑、右が城山公園 |
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城山へ向かう雑木林の小道 |
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ここは、「城山(じょうやま)」と呼ばれる中世の居館跡で、都の歴史環境保全地域に指定されている。比高差8mほどの青柳段丘崖を利用して造られた室町時代初期の城跡であり、土塁と空堀、方形の特徴的な郭が残されている。城主は鎌倉時代初期の豪族であった三田貞盛とも、また菅原道真の子孫で源実朝の臣であった津戸三郎為守ともいわれているが定かではない。四方を囲む自然豊かな樹林には、春はニリンソウ、夏はキツネノカミソリといった花々も見られる。ただし、入れるのは中央民家の手前まで。ここは個人の敷地・住居となっているので、奥へと立ち入るのは遠慮しよう。
>> 国立市のエリアガイド-城山公園 |
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城山の石門を出て、道なりに南へ下ると、城山公園に出る。ここは湧水が流れる植物公園で、樹林の中を散策できる。公園内は静かで居心地が良いのか、あちこちで猫の姿を見かけた。人を見かけると近寄ってくるので、近所の飼い猫たちなのだろう。飼い主たちは、どこも稲刈りで忙しくしているので、猫たちはここで暇をつぶしているのかもしれない。 |
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古民家 茅葺き屋根が田園になじむ江戸時代の民家 |
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城山公園の隣には、風情ある古民家が一軒建っている。民家の庭が賑やかだったので、垣根から中を覗くと、縁側に12、3人ほどの人が座り、お昼ご飯を食べていた。どうやら隣の田んぼに来ていた農家の人たちが、稲刈り途中にここで休憩を取っていたようだ。
この古民家は、江戸時代後期の建築と推定される茅葺き、入母屋作りの家屋で、青柳村(現国立市青柳)に建てられていた農家・旧柳澤家住宅を移築、復元したもの。ちなみに柳澤家の屋号は「たくあん屋」で、明治から昭和初期にかけて漬物業も営んでいた豪農である。平成3年には市指定有形民俗文化財となり、館内では年間を通して伝統行事を再現している。
古民家の中に入ると、農具や調度品も置いてあり、また家屋の保存のため、居間の囲炉裏には火が入っていた。農家の人々が午後の収穫に出掛けた後、伽藍とした広い縁側に腰を下ろしてしばし休憩。木の温もりと開放的な空間が安らぐ縁側の先には、つるべ井戸のあるノスタルジックな庭の風景が広がり、田んぼで稲穂を刈る人々の向こうに中央道の外壁が見えるが、ここはひねもす静かで心地よい。
>> 国立市のエリアガイド-古民家 |
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古民家らしく広くて長い縁側 |
縁側は涼しくて静か |
古民家隣の田。遠くに中央道が見える |
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ハケ下散策路 段丘の下から湧き出す清水の流れを辿る道 |
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古民家からもと来た道を戻ろうと外に出ると、向かい側に建つヤクルト中央研究所の敷地の脇に細い小道が通っているのを、偶然見つけた。「ハケ下散策路」という小さな立て札が立っているが、地図には載っていない小道のようだ。とても気になるので、どこへつながる道なのか、歩いて確かめてみることにした。
崖下をなぞるように続く小道の脇には小川が流れており、しばらく歩くと土の小道が消え、なんと途中から小川の上を歩く木道の散策路に変わった。人が一人通れるほどの細い木道がどこまでも続く。足の下を流れる小川は湧水のようで、水はきれいに澄んでいた。 |
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国立市には南部に流れる多摩川によって形成された、北側から武蔵野段丘、立川段丘、青柳段丘の3つの河岸段丘がある。この城山付近から谷保天満宮へと続く段丘崖は、最も多摩川に近い青柳段丘となる。この段丘崖・崖線のことを地方名で「ハケ」や「ママ」と呼ぶ。雨水は地表にしみて段差の崖下から湧き出し、小川となって段丘下へと流れていく。このハケ下散策路の小川がまさにそれだ。この場所を歩くと、その段丘の地形がよく分かり、市南部に湧水の水路が多く張り巡らされていることも納得できる。 |
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散策路右側のハケ(崖)下から清水が湧く |
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畑と中央道が見えたら散策路の終点 |
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くにたち郷土文化館 国立市の郷土文化と歴史を学ぶ |
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ハケ下散策路の出口から道を一度北に進み、すぐに住宅街の中を西へ向かって歩いていくと、右手にくにたち郷土文化館が見えてくる。
現代的なガラス張りの建物で、国立の歴史や文化、自然、芸術などに関する資料を展示している。ここでは、河岸段丘や谷保天満宮についての詳しい展示もあるので、見学して知識を深めればよりウォーキングが楽しめるだろう。
>> 国立市のエリアガイド-くにたち郷土文化館 |
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くにたち郷土文化館 |
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開館時間 |
9:00〜17:00(入館は16:30まで) |
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南養寺 貴重な建造物と遺跡発掘で有名な禅宗の寺 |
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くにたち郷土文化館の北側には、南養寺がある。郷土文化館の脇を通っても行けるが、道路を迂回すれば正面の総門に出られる。ここには歴史的に重要な建造物がいくつもある。
安永9年(1780年)建築の総門を入ると、正面に大悲殿、左手に大きな本堂が建っている。本堂は総門に対して背を向けて建っているが、これも谷保天満宮と同じ理由で、元々は旧甲州街道に向かって建造されていたためである。谷保山南養寺は、立川市にある禅宗、臨済宗建長寺派普済寺の末寺で、開山は鎌倉時代の物外可什禅師、開基は立川入道宗成と伝えられている。本堂は文化元年(1804年)の建築で、昭和56年の修理時に茅葺きから銅葺きに変えられているが、禅宗の客殿型本堂としては貴重な建物で、市の有形文化財に指定。本尊の釈迦如来坐像を祀っている。 |
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総門。安永9年(1780年)建造の薬医門で、切妻造り、銅葺き。「谷保山」の扁額は前南禅僧録司大川崇達の書。市指定有形文化財 |
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大悲殿は、市指定有形文化財の「十一面千手観音坐像」を安置するため、享保3年(1718年)に建立されたと伝えられている。この建物の柱には特徴があり、柱の真ん中辺りがみな外側に膨らんでいる。これは地震に強くするための工夫で、「三味線堂」と呼ばれる珍しい建築らしい。また、本殿前に建つ鐘楼も天明8年(1788年)建立の貴重な建造物。梵鐘は安永6年(1777年)に下谷保村の鋳物師が造ったもので、戦時中も供出を免れたという名高い鐘である。
>> 国立市のエリアガイド-南養寺 |
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大悲殿。市指定有形文化財。天井画や壁画二十八部衆は絵画としても優れている |
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大悲殿の柱 |
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鐘楼。入母屋造り、銅葺き、市指定有形文化財 |
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梵鐘 |
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南養寺には、ほかに市指定史跡の庭園や諏訪池もある。また昭和57年の庫裏改築工事の際には、縄文時代中期末(約4000年前頃)の南養寺遺跡敷石住居跡が発見され、こちらも市指定史跡となっている。 |
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ママ下湧水公園 崖下に湧き出す清水の流れに触れる親水公園 |
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南養寺の西側を通る道を南へ向かい、中央道の手前で水路の通る道が出てきたらその道を右(西)へ。豊かな水量をもって流れる幅広の水路を上流に向かって辿り、その先の広い車道を渡ると、右手にこんもりとした木々の茂みが見えてくる。近づいてみると、そこは典型的な段丘崖となっていた。 |
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水路の通る道を西へ |
矢川のおんだし(押し出し)。
矢川が府中用水の支流と合流する地点 |
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この辺りも高さ8m前後の段丘崖が連なる青柳段丘エリア。崖下には湧き出した清水が流れる美しい小川があり、昭和初期までこの一帯にはわさび田が広がっていたという。現在はママ下湧水公園として整備されており、市民の安らぎの場となっている。崖下を小川に沿って散策し、公園西端にある湧水の池に来たところで、思いきって水の中に足を入れてみた。新鮮で冷たい水と川底の小石が、歩き疲れた足を心地よく刺激し、さやさやと吹く樹木の風にすっと汗がひいていく。 |
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小川の流れは緩く川底は浅いので
幼い子供でも川遊びができる |
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上のママ下に通じる湧水の池 |
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矢川いこいの広場 清流矢川で遊べる子供たちに人気の公園 |
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ママ下湧水公園の段丘を上り、一段高いところに広がる平地に出たら、そろそろ西日が差す頃。左手に見えるゴルフセンター脇の道を北に向かって歩き、甲州街道を越えると、国立第6小学校と道路を挟んだ左手に、矢川いこいの広場がある。矢川は、立川市の矢川緑地を湧水源とし、立川市、国立市、府中市の3市を流れて府中用水へと合流する全長約1.5kmの小川。その矢川に沿って造られた矢川いこいの広場には、魚やザリガニなどもいて、沢山の小学生たちが元気に川辺で遊んでいる。公園に子供の姿が見えなくなった地域が増えている昨今、ここではやんちゃに水遊びをする子供たちの姿が夕日の中で輝いている。 |
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矢川いこいの広場 |
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広場には遊具やあずまやもある |
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矢川いこいの広場から、国立第6小学校の北側の道を回って踏み切りを渡ると、右手にJR南武線の矢川駅が見えてくる。今回のウォーキングはこの矢川駅前に着いたところで終了。矢川駅からは南武線で立川駅、または登戸方面に戻り、それぞれの路線で家路に着こう。
>> 国立市のエリアガイド-矢川駅 |
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矢川駅 |
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【取材後記】 〜谷保天満宮・城山・ママ下湧水公園近隣のクウ・ネル・アソブ〜 |
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ママ下湧水公園 |
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国立という名前がついたのは、大正時代末期のこと。谷保村北部の山林が開発され、ここに町を作る際、当時中央線の国分寺と立川の間に新築する駅名として、両者の頭文字を取り「国立」と名づけられたらしい。簡単な由来だが、そういわれると、なるほどと納得してしまう。今ではその国立という名も、ハイソな文教都市としてのブランド名になり、この市名に込められた「この地から新しい国が立つ」という当時の願いも、駅前の洗練された街の風情がすでに叶えているようだ。
さて、今回は国立市南部を巡る谷保地域のクウ・ネル・アソブ。おススメのクウ・スポットは、谷保駅北口前にあるオレンジハウスすえひろ亭。ここはビーフシチューとオムライスが評判の老舗洋食店。また矢川駅南口近隣にある素朴庵は、十割手打ち蕎麦が通にも好評の人気蕎麦店だ。途中、ネル・スポットとして絶好の場所は、やはり古民家の広い縁側。ここならお弁当&お昼寝の休息もいいだろう。ウォーキング後にアソブ・スポットを探すなら、いざ国立駅へ。南口の大学通り周辺にはお洒落な飲食店やショップ、ギャラリーが建ち並び、街歩きも面白い。 |
取材担当:美月春菜 |
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