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じんだいじしゅうへん じんだいしょくぶつこうえん |
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四季折々に美しい自然豊かな樹林に包まれ、1300年の歴史を誇る関東の古刹、深大寺。古より境内のハケ下から湧き出る湧水の流れを辿って歩けば、戦国時代の城跡や水生植物園、また現代に蘇った水車小屋の風景などにも出会える。深大寺の北側には広大な神代植物公園もあり、様々な花木の観賞と園内散策を堪能できる。今回は、紅葉の美しい深大寺を訪れ、周辺の自然&歴史スポットを満喫しながら神代植物公園のバラを愛でる、秋の散策コースをご紹介。名物のそばと天然温泉も楽しめる、まるで小旅行のようなウォーキングコースだ。 |
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全長 |
約4キロ |
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所要時間 |
約3時間 |
Access :電車 |
京王線で調布駅下車 |
Access : 車 |
調布ICより国道20号で三鷹通りを北へ入り約20分 |
おすすめ
シーズン |
花や紅葉が美しい、春から秋のシーズンがおすすめ。 深大寺・そば祭りウォークもご覧下さい。 |
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1 調布駅北口 |
↓ |
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バス15分 |
2 深大寺 |
↓ |
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徒歩3分 |
3 深大寺城跡・そば畑 |
↓ |
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徒歩1分 |
4 水生植物園 |
↓ |
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徒歩5分 |
5 深大寺水車館 |
↓ |
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徒歩7分 |
6 神代植物公園 |
↓ |
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バス16分 |
7 調布駅北口 |
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深大寺(じんだいじ) 水と緑とそばで名高い1300年の古刹 |
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京王線調布駅の北口からバスに乗り、15分ほどで深大寺に到着。辺りは樹木の緑が茂り、車道を離れた途端に森の中のような静けさと澄んだ空気に包まれる。ここは調布市内の中でも豊かな自然が残る武蔵野の丘陵地。美しい湧水の小川も流れており、まるで都会のオアシスのようなところだ。早速、清々しい朝の深大寺に入り、境内の散策から始めることにした。土産物屋が軒を連ねる表参道から正面の古い山門を入ると、すっかり秋めいた閑雅な寺院の風景が広がった。 |
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浮岳山昌楽院深大寺 |
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深大寺は、天平5年(733年)に満功上人が創建した関東屈指の古刹。寺の縁起に水神・深沙大王の伝説が伝えられており、境内にはその伝説と結びつくような豊富な泉水が湧き出している。寺名の由来となった深沙大王は縁結びの神として知られ、若いカップルの参詣者も多い。また近世には、深大寺の信仰の中心が天台宗・元三大師であったため、本堂西側に建つ元三大師堂は、今日も厄除け祈願の参詣者が絶えないところだ。
また深大寺は、江戸時代よりそば処としても有名な土地で、門前には20軒ほどのそば屋が建ち並び、通年観光客で賑わっている。
毎年10月中旬には「そば祭り」も行われ、境内では古式のそば打ちや僧侶たちによる様々な儀式など、深大寺ならではの秋の祭事を目にすることができる。 |
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大正初期再建の本堂。本尊の阿弥陀如来像が安置されている |
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元三大師堂。毎年3月3・4日には、
厄除元三大師大祭のだるま市が行われる |
そば祭りの風景 |
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深沙大王堂。深沙大王は
深大寺縁起より縁結びの神とされる |
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門前のそば屋と湧水の小川 |
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深大寺城跡・そば畑 戦国時代の城跡と秋に咲くそばの花 |
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深大寺の不動堂の前で深大寺通りを渡り、向かい側に建つ水生植物園の門を入った。その時、右手の方に細い脇道と畑の案内板があるのを見つけた。この先に「そば畑」があるというのだが、一体どんな風景が見られるのだろう。思わず気になったので、先に脇道の方へと進んでみることにした。 |
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水生植物園の入口 |
そば畑の案内板が建つ脇道 |
脇道は、草木が生い茂る静かな丘を上り、ほんの数十メートルですぐに開けた頂上に出た。道の左手には小さな農地のそば畑が広がっており、ちょうどそばの白い花が開花していた。そばの花はとても小さくて、茎の先端に密集して咲いている。畑に建つ案内板によると、ここは深大寺のそば組合や小学校が管理している畑で、花の開花は9月中旬、収穫は11月上旬らしい。深大寺そばは、昔と違って原料を他の土地のものでまかなっているようなので、この畑で育った地元原産のそばもぜひ食べてみたいものである。 |
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静かな丘を上る |
丘の頂上に広がるそば畑 |
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そばはタデ科の一年草。種子がそば粉の原料となる |
そばの花 |
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そば畑が広がるこの丘は、非常によく整備されているが、実は戦国時代に建てられた山城の跡であった。そば畑の南側には、現在でもしっかりとした土塁と空堀の跡が残っており、その空堀の奥には本丸に当たる第一郭跡が広がっている。
ここは、川越城主の扇谷上杉朝定が小田原北条氏の北進に対抗するため、1537年(天文6年)に古城跡地に再興したと伝わる深大寺城跡。深大寺城は、結局北条氏の手に落ちてしまったが、その後も北条氏にとって重要な拠点とはならず、そのまま廃城となってしまったようだ。第一郭跡は散策道があるだけの雑木林で、昼間でも人けがなくひっそりとしている。
深大寺城、第一郭跡の入口 |
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写真左:空堀の跡
写真中:深大寺城跡の石碑
写真上:第一郭跡に広がる雑木林 |
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空堀の前に、ひと際存在感のある一本の大木が立っている。その大木の南側には、気持ちの良いほど広く開けた平らな野原が続いていた。この野原の広場は深大寺城の建物跡で、発掘された堀立柱建物の柱穴には小さな石柱が建てられている。建物は武士の屋舎だろうと考えられているが、野原に建つまばらな石柱群はまるで切り株のようで、遺跡跡とは思えないほどのどかな風景だ。陽光が明るく照らす広い野原と、大きな木の下の涼しい木陰。ここは地元の人が時折散策に来るくらいで、休息にはとても静かで心地よい。 |
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広場にそびえる大きな木。木陰にはベンチもある |
建物跡の石柱 |
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広大な野原の広場 |
木陰のベンチ |
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水生植物園 深大寺の湧水が育む湿生・水生の植物 |
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深大寺城跡の丘を下り、城跡の東側に広がる水生植物園に入った。ここは神代植物公園の分園で、深大寺から湧き出た湧水を集めて整備した湿地の植物園。南北約300m、東西約60mの谷戸地にあり、アシ、オギ、マコモ、アヤメなどの湿生・水生植物を木道の上から観察することができる。6月にはハナショウブ、9月にはヒガンバナが咲き、沢山の行楽客が訪れる。この日は花の時期を逃していたが、木道の奥に広がる田んぼでは、稲が生き生きと育っていた。 |
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水生植物園と左手に広がる深大寺城跡の丘 |
園内には田んぼもある |
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深大寺水車館 そば屋が並ぶ深大寺通りにかつての水車小屋が復活 |
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水生植物園を出てからは、深大寺通りを西へと向かう。通りの北側には、深大寺名物のそば屋が建ち並んでおり、それぞれの店が構える日本家屋の佇まいに、古き江戸時代の情緒を感じる。とても観光名所らしい通りであるが、深大寺を過ぎ、さらに少し先まで歩くと、現代には珍しい水車小屋の建物が現れた。 |
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深大寺通り |
深大寺通りに建つそば屋 |
ここは、明治時代にあった水車小屋を復元した深大寺水車館。かつてこの辺りでは、豊富な湧水の川を利用した水車が所々で回り、そばやアワ、ヒエ、麦などの穀物の脱穀・製粉に利用されていたという。しかし、昭和30年頃になると、電動モーターの普及などによって水車は消滅。その後、地元の人々の間で、市内の貴重な湧水を利用する水車復活への願いが強まり、「人」と「水」と「緑」を結ぶシンボルとして、平成4年に水車小屋が再建された。 |
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開館時間 |
4〜10月 9:30〜17:00 11〜3月 9:30〜16:00 |
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ハケ下から流れてくる湧水の小川の力で回る水車は、単に地元のシンボルというだけでなく、実際に利用可能な施設となっているのが素晴らしい。水車小屋に入ると、つき臼とひき臼が空の状態で常に稼働しており、水車の仕組みも自由に見学できる。そば祭りの日に訪れた時には、実際にそばの製粉のために水車のひき臼が利用されていた。深大寺水車館では、申し込みをすれば誰でも水車を無料で利用できるので、ぜひとも使ってみたいものである。また、水車小屋の隣には小さな資料館もあり、水車の歴史や農耕具の展示など、調布の農村の暮らしぶりを知ることができる。 |
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紅葉が美しい秋の水車館
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水車小屋の中で動くひき臼 |
併設の資料館 |
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神代植物公園 季節の花木と散策を楽しめる都立の植物公園 |
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深大寺通りから武蔵境通りを北へ向かい、再び交差点で右に曲がると、神代植物公園の正門入口に着く。ちょうど正門前の樹木が紅葉しているように、園内でも秋の草花が見頃のようで、入口は沢山の来園客で賑わっていた。 |
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開館時間 |
9:30〜17:00(入園16:00まで) |
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入場料 |
大人500円、中学生200円(都内在住・在学無料)、小人無料 |
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神代植物公園の正門入口 |
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園内へ入ると、正門前の広場で秋の「菊花大会」が催されていた。見事な大輪の菊花を観賞した後は、あらゆる季節の草木を配した広大な公園を散策することにした。
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神代植物公園は、47万uの敷地面積を持ち、うち23万uの有料区域に約4,500種、10万株の植物が植栽されている。戦前は、東京都の街路樹を育てる苗圃であったが、1961年(昭和36年)に都内唯一の植物公園として開園。現在では、バラやツツジ、ボタン、桜、梅、カエデなど、四季折々の花と緑を楽しめるほか、大温室では熱帯地方の珍しい花木を観賞することができる。正門左手にある植物会館では、盆栽の展示など、植物に関する催し物を通年行っている。
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園内の散策道 |
並木道 |
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芝生広場 |
宿根草園 |
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花園の風景 |
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園内に咲く花の中でも、特に人気が高いのはバラだという。実は、深大寺のバス停に建つ観光案内所を訪れた時、「神代植物公園でちょうど秋のバラフェスタをやっているので、ぜひ足を運んでほしい」と受付の女性に勧められていたのだ。この時期、園内では秋バラが咲いているそうで、ロマンティックなバラ園でジャズコンサートやライトアップなどが行われるらしい。しかし、夜の時間帯に催されるということなので、今回は昼間のバラを観賞するだけにした。 |
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バラ園は広々としたヨーロッパ風の庭園で、東側にテラス、中心に噴水があり、その周りの花園に274種、約5,100株のバラが春と秋に咲き誇る。バラは世界各国から集められており、原種バラ園や国際バラコンクール花壇なども設けられている。秋バラは、赤やピンク、白、黄色、オレンジなど、大小色とりどりの見事な花を咲かせており、その華麗な姿と甘い香りで訪れる人々を魅了していた。 |
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彫刻とバラ |
原種バラ園 |
バラ園に建つモニュメント |
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バラ園の西側には、非常に目立つガラス張りの大きな建物が建っている。こちらは熱帯植物ばかりを集めた大温室で、普段見ることのできない熱帯の珍しい草花や木々が植栽されている。お馴染みのバナナやマンゴーの木のほかに、バショウ科の植物や華やかな熱帯スイレンの池、またカラフルなベゴニア園などもあり、観賞ルートはまるでジャングルを探検しているようで、来園客の目を飽きさせない。 |
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ガラス張りの大温室 |
大温室の入口 |
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ジャングルのような室内 |
背の高い木ものびのびと育つ |
南アフリカ原産の「ゴクラクチョウカ」の花 |
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←写真左:
マダガスカル原産の「旅人の木」 |
スイレン池:写真右→ |
↓写真下:美しい熱帯スイレンの花 |
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ちょっと寄り道 深大寺温泉ゆかり |
神代植物公園をゆっくりと散策したら、今回のウォーキングはここで終了。帰り道は、公園前のバス停から、調布駅、つつじヶ丘駅、吉祥寺駅、三鷹駅の各方面へのバスが出ている。また家路に着く前に、ちょっと寄り道して、深大寺通りの南側にある日帰り温泉施設「深大寺温泉ゆかり」に立ち寄ってみるのもいいだろう。野趣あふれる露天風呂や香り風呂、水晶水風呂などで、リラックス&鋭気を満たしてのんびり帰ろう。
タチカワオンライン−ぽかなび深大寺温泉ゆかり |
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【取材後記】 深大寺周辺・神代植物公園近隣の〜クウ・ネル・アソブ〜 |
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深大寺玉乃屋の田舎そば |
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深大寺城跡の木陰ベンチ |
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深大寺の取材後、ちょうどこの寺を舞台とした松本清張著の小説「波の塔」がテレビドラマで放映されていた。ドラマでは、主人公の男女が境内の池や門前の売店などを訪ね歩いていたが、この小説が発表された1959年以来、深大寺には若いカップルの姿が増えたそうで、ますます縁結びの寺として認知されるようになった。それほど深大寺は美しく情緒のある寺であるが、他のドラマや小説の舞台にもぜひ取り上げてほしいと思っていたら、なんと調布市では2005年より深大寺界隈を舞台に設定した短編恋愛小説を「深大寺恋物語」と題して、毎年作品募集を行っているらしい。受賞作品は公式ホームページで発表されるそうなので、興味のある人は深大寺散策を楽しんだ後に恋愛小説の執筆にもトライしてみてはいかが?
さて、ウォーキングの途中で楽しむ深大寺周辺のクウ・ネル・アソブ。クウ・スポットは、やはり深大寺名物のそばか、門前の売店「あめや」のそばぱん。門前街にはそば屋や食事処、売店が数多くあるので、ご当地グルメもいろいろと楽しめる。また、ネル・スポットは、深大寺城跡の建物跡の広場が最高!大きな木の下のベンチで休んでもいいし、野原の上に寝っ転がるのも気持ちよい。そしてアソブ・スポットを探すなら、バスで調布駅へ。「ゲゲゲの鬼太郎」の人形たちがいる天神通商店街や、駅前百貨店で買い物や映画を楽しめるゾ! |
取材担当:美月春菜 |
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