渋谷駅東口の国道246号線と東急東横線が交差する辺りに、稲荷橋という小さな橋があります。この橋へ来ると、原宿でキャットストリートの暗渠を流れていた渋谷川の流れを地上で見ることができます。護岸で固められた殺風景な川ですが、宮益坂と道玄坂に挟まれた渋谷駅の真下を通過する川の流れを目にすると、渋谷の街はその名のとおり、谷間にできた街なのだということが納得できるでしょう。
渋谷川は新宿御苑や明治神宮の池が水源で、原宿方面から流れてきた本流は宮下公園や渋谷駅の真下を通り、稲荷橋から地上に出た後、港区の天現寺橋から古川と名を変え、JR浜松町駅付近で東京湾に注いでいます。また、唱歌「春の小川」のモデルとなった河骨川は、途中から宇田川という名称になり、まさに宇田川町の道路下の暗渠を通って渋谷駅周辺で渋谷川本流と合流します。今も繁華街の道路の下を小川が流れていることを意識しながら、渋谷の街を歩いてみてはいかがでしょうか。オシャレな坂も小路もみな、川につながる谷筋の道だったかと思うと、新たな渋谷の一面を発見できるかもしれません。
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